紫水宮

嘉村詩穂の告知ブログ

主宰した「雨あがる」読書会を催しました。

今日はかねてから大学時代の文学仲間と約束して、私が主宰した山本周五郎「雨あがる」読書会の日でした。

読書会を催す時間になり、先日読んだテキストを手に自室へ。

読書会では民衆の描かれ方や、主人公夫妻の聖なるものとしてのキャラクター性、リベラルな思想小説としての「雨あがる」について語り合いました。

当時としては全く新しい「弱い立場の侍」が、その後藤沢周平に引き継がれて、時代小説の一ジャンルとなっていくという主人の解説もあり、大変歯応えのある読書会になったのではないかと思います。

皆それぞれに感想を述べあったり、主人が好きな作家ということもあって解説をお願いする場面があったり、一通り話し終えた後に参加者のNさんから「皆さんが最近読んでいる本について聞きたいです」と提案があり、私は最近読んでいる外間守善『沖縄の食文化』という本と、木下龍也『荻窪メリーゴーランド』を取り上げました。

メンバーのYさんは京極夏彦の新刊を読んでいるとのことで、その話題でも盛り上がり、Nさんはうなぎの生態について書かれた本や、海外古典ミステリー、横溝正史などを読んでいると聞きました。

主人は窪美澄の『ふがいない僕は空を見た』について語って、ひとしきり話が盛り上がりました。

皆子育てに仕事に忙しい中でも読書に励んでいて刺激をいただきましたし、私が「コロナ禍になって、なかなか小説を読めなくなってしまったんですよね」と恥ずかしながら打ち明けると、Nさんも産後は小説を思うように読めず、そこからミステリーと出会ってハマって読むようになったと話してくれて、ほんの少し勇気をいただくことができました。

私はここのところ近代文学を学生の頃のようにふたたび読み返したいという思いが強まっているものの、なかなか実行に移せておらず、泉鏡花谷崎潤一郎といった大好きな文豪の作品をもっと読んでみたいと思っています。

特に「天守物語」はこの季節にふさわしく、学生時代は鏡花の命日になると絶筆の「縷紅新草」を毎年読んでいたのを思い出します。

谷崎は特に「盲目物語」と「蘆刈」が大好きなので、そちらも読み返したいです。

また宮沢賢治の作品や関連書籍を読むことはひとつのライフワークのようになっているので、積んでいる本などを崩していきたいところです。

特に賢治の詩集は読もう読もうと思いつつ、なかなか手に取れていなかったので、この機会に読むのもいいかもしれません。

なんとかふたたび小説に読書の軌道を戻していければと願っています。