紫水宮

嘉村詩穂の告知ブログ

校正として携わらせていただいた、本間悠一朗さんの『ミントの朝、ステファニーの夜』が発売になりました。

校正として携わらせていただいた、本間悠一朗さんの『ミントの朝、ステファニーの夜』が発売になりました。

「私」は小学校に転校初日、同じ掃除の班のリコとリュウ、そしてゴキブリを食べる奇天烈な人物のアキラと出会う。彼らと行動をともにするようになった私は、一緒にサバイバルゲーム用のガス銃などを万引きするなどの悪事に手を染めるようになる。
卒業して同じ中学に進んだ私たちは、学校をサボり、盗品を売りさばいて小銭を稼ぎながら、ミントとステファニーと名づけた二台の窃盗スクーターを乗り回す日々を過ごしていたが、極悪と名高い田崎先輩たちに目をつけられ、手酷いリンチを受ける。ほどなくして警察がやってくるが、先輩たちは逃亡、私も負傷したアキラとリュウをおいて逃げる事となった。事なきを得た私は無事志望の高校に入学するが、アキラとリュウはバイクの窃盗、数々の余罪も追求されて、受験に失敗する。
高校入学後も彼らに対する引け目を感じながら行動をともにしていた私は、アキラのイタズラに巻き込まれる事となる。「アキラとリュウがバイクの事故で死んだ」というメッセージを、私の携帯電話から小中学の頃の同級生たちに一切送信したのだ。信じる者はほぼ皆無であったが、唯一通夜に訪れたのが今や名門校に通うリコであった。すっかり私たちの嘘を信じ込んでいたリコは、二人が亡くなった事に号泣する。それを目の当たりにしたアキラは彼女に恋心を抱き、後日付き合うようになった。
人生で初めての生き甲斐を見つけたアキラはそれまでの怠惰な生活を改めて、鳶職人のアルバイトをしながら高卒認定を受け、美大の受験を決意するが、少年院から戻ってきた田崎先輩にまたしても目をつけられる。その鬱憤を晴らすべく、私たちは海を目指した。
辿り着いた真夜中の海岸で、私たちはみすぼらしい老婆と出会う。
老婆は私たちに、あの海へと突き落として欲しいと懇願する──。

不良になりきれないはぐれ者たちの、青春ストーリー。

プロットの構成力が本当に素晴らしくて、色々と学ぶところの多い作品でした。

校正として初めて関わらせていただいたお仕事の本なので、個人的に思い入れの深さを感じる作品でありつつも、小説としての完成度も高く、文学がお好きな方にはぜひおすすめさせていただきたい一作です。

 

なお、こちらの「物語化計画ブックス」からは、既刊として『「私」物語化計画 創刊号第1号 2023年《春》』が発売されていて、私は時代ファンタジー短編小説「all the good girls go to hell」を寄稿させていただきました。

併せてご利用いただければ幸いです。