紫水宮

嘉村詩穂の告知ブログ

新作散文詩公開に読書会、最近の活動報告をまとめてみます。

noteにて新作の散文詩を公開しました

noteにて新作の散文詩「罪業の門を叩いてのちに」を公開しました。

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時雨を含めてかれこれTKの音楽は14年ほど聴いているのですが、今回の詩はTK from 凛として時雨の「first death」のライヴ版に衝撃を受けて、その衝動のままに書いた一編です。

音楽サブスクを抜けてしまったので、「first death」はiTunesで購入しました。

first death

first death

  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

他にオーギュスト・ロダンの「地獄の門」を頭に思い描きながら書いていたものの、途中で意識が一瞬途切れて、ここのところ詩を書いていると強い酩酊感に見舞われるなぁと感じます。

以前ココア共和国の秋吉久美子賞の最終候補に残った折に、私自身の作品について「エクスタシー」と評されたことがありますが、結局そうした恍惚感と酩酊感を味わいながらこれからも詩を書いていくのだろうと思います。お酒は一滴も飲んでいないのですが。

いずれにせよ詩を書く苦しみも切実さも味わい尽くしたこの一年を象徴する詩になったのではないかなと思います。

 

主宰文芸サークルでの南木佳士阿弥陀堂だより』読書会

主宰文芸同人サークル・かもめで、かねてから企画していた南木佳士阿弥陀堂だより』読書会を開催しました。

この作品は先に映画を観ていたこともあってテキストに選んだのですが、メンバーから選書がよかったとの評価をいただけてうれしかったです。

個人的にメンタルの持病で参っている最中で扱った本になったので、記憶に刻まれる一冊となりました。

読書会では国文科出身のメンバーふたりが中心となって、構造的に小説を読み解いていくという風な進行で進みました。もう少し個々人のお話も交えながら話せれば、より充実した会になったかなという反省もありつつ、国文科仕込みのテキスト論に従って読める人はそう多くないので、この形式での読書会もやはり得難いものがあります。

メンバーから著者の他の本も読んでみたいという話が出て、そういえばブックオフでまとめ買いしていたなと思い出し、本棚から引っ張り出してみると、芥川賞受賞作の『ダイヤモンドダスト』と、エッセイ集『生きてるかい?』が出てきました。

こちらも追々読みたいと思いつつ、今は舞台が信州つながりということで、こちらも先に映画版を観た、水上勉土を喰う日々』をのろのろと読んでいます。

名文で綴られた原作を読むと、どうしても映画版の粗が目立ってしまうのが難点ですね。

信州はかつて一度主人と訪ねたことがありましたが、とても素敵な場所で、『阿弥陀堂だより』や『土を喰う日々』を通じて、その懐かしい思い出や景色に出逢い直すような、情趣のある読書体験を味わうことができ、またいずれ再訪できればと願っています。

 

次回の読書会の予定が2本決まりました

次回の読書会は、年内に主人との笹井宏之『えーえんとくちから』をテキストに扱ったふたり読書会、年明けに歌友を交えて、主人と三人で薮内亮輔『海蛇と珊瑚』を読書会で扱うことになりました。

テキストはすでにどちらも揃えているので、あとは読むばかりです。主人は主人で別の友人との読書会の予定があるとのことで、来年も引き続きこのような形でサークル活動を続けていければと考えています。

かもめでの読書会方は、引き続き小説を扱っていければと思っていますが、メンバーが仕事に育児に忙しい状況なので、折を見ながら細く長く続けていければと考えているところです。

ひとり作業会のご報告

はじめに

ここのところ持病の悪化と長引く心身の不調で、SNSに浮上することが難しくなりつつあります。

インスタもXも様子を見ながらつづけようと考えてはいますが、更新ペースは落ちるかもしれません。

Xで開催されていた、11/5のテレッテレーにも参加するつもりだったものの、不調につき参加を見送らざるをえなかったので、ひとり作業会の様子を少しだけお届けしようかと思います。

 

作業開始まで

私自身の自分軸として、療養>生活を整えること>仕事>>>創作という軸を定めているので、創作は家事を終えてから始めるというマイルールを作っています。

調子を崩していたためなかなか作業に着手できませんでしたが、なんとか家事を片づけました。

ただそこからすぐに創作につなげることができず、もだもだと過ごす時間が長かったなと感じます。

NHKラジオニュースを聴いていて、Xが有料会員限定で独自のAIを使えるように仕様変更をするというニュースが流れてきて、Xの運用をどうすべきか、しばらく頭を悩ませました。

結論としてオンライン上に作品を載せることは最小限に留めようという考えに至りました。

これまではnoteに有償作品を載せたり、BOOTHに有償DL折本を載せていましたが、今後はBOOTH一本に絞ろうかなとも考えています。

star-bellflower.booth.pm

AIに作品を学習されることはどうしても拒絶反応を覚えてしまうので、できるだけ自衛できる範囲で自衛するつもりです。

現在オンラインに載せている作品は既発作品扱いになるのでそのままにしておきますが、今後はより扱いに気をつけたいところです。

 

作業内容

自室に戻って作業する時間を確保するまでに時間を要して、結局作業に取りかかったのは19時台でした。

詩を書くつもりはなく、短歌を詠もうと思っていたのですが、その素描をしようとしていたら詩になってしまったので、ココア共和国に投稿しました。

それから以前歌友に詩を見せたところ、折に触れて短歌を返歌として返してくれたのを思い起こし、ここのところあまりセルフオマージュとして詩に短歌をつけていなかったなと思い至って、短歌を詠むことに。

8首ほどができあがり、この1年短歌から離れていたので、まだまだリハビリが必要かもしれないと思っていたものの、その中の2首がそこそこの出来だと感じたので、NHK全国短歌大会に投稿しました。

どのような結果に至るかは分かりませんが、短歌は私には向いていないのだという思い込みがとても強かったのだなぁと感じます。

プロの歌人の歌集を読み、優れた詠み手である歌友の作品を味わうにつけ、自分自身の歌の未熟さを思い知って、今後は詩に邁進していこうと考えていたのですが、心のどこかで短歌に対する未練があり、その思いをずっと抱えた1年を過ごしてきました。

その思いを幾らかでも昇華することができた一夜になったのではないかと思います。

 

今後のこと

あれこれと思いつくままに手を出したり引っ込めたりしていて、まだ定まっていないのですが、世の中の状況も可変的ではあるので、このまま様子を見るときは見て、状況に応じて投稿をしたり、作品をBOOTHやKDPを通じて頒布したりするなどしていければと考えています。

小説に戻れるかどうかは持病との応相談ということになるので、明言はできませんが、リハビリは少しずつでもやっていくつもりです。

詩については変わらず書いていくつもりですし、短歌は当面は趣味的に作っていければと思っています。こちらもリハビリが必要なことに変わりはないので、日々作歌をするリズムを作っていければと願っています。

詩歌句はそれぞれ近接するジャンルでもあるので、ゆくゆくはまた俳句も作りたいと思っていますが、これも趣味的な範囲に留めるかもしれません。

二篇のみ投稿してあとはおざなりになっていますが、俳句or短歌×詩というセルフオマージュの連作は今後とも作っていくつもりです。

kakuyomu.jp

いずれまたBOOTHやKDPで頒布することを一つの目標に、今後とも励んで参ります。

校正のお仕事の納品を済ませました&ブンゲイファイトクラブ5 1次予選通過のお知らせ

お仕事のこと

先日からお取引先から校正のお仕事をいただき、無事納品を済ませました。

紙の本のお仕事で、出版されたらまた追ってお知らせいたします。

年末年始にもお仕事のお話をいただいており、そちらはブックライティングになるかと思います。しっかり励めるように体調管理に努めてまいります。

こうして紙の本に携わるお仕事ができるということは、私にとって幼少期からの夢でもあったので、今こうして実現できていることを心から喜ばしく思うとともに、引き続きお仕事を受注できるよう、誠心誠意励んでいくつもりです。

 

ブンゲイファイトクラブ5 1次予選通過とその作品

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小説のリハビリにと、掌編を先日から書き始めて、そのうちの一編をブンゲイファイトクラブ5に応募しました。

作品は嘉村詩穂名義で書いた「追憶の葬送」です。全文無料で公開しておりますのでぜひご覧ください。

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たまたま時期的に募集期間が重なっていたのと、前回数年前に投稿した時に読者の方からご好評をいただいていたのを思い出し、今回も厳しい戦いになるのを承知で応募いたしました。

結果的に1次予選通過という結果をいただくことができ、その先には進めませんでしたが、ここ数年持病の悪化で小説が書けない日々が続いていたので、大きな前進と前向きに捉えられればと思います。

小説を書くことそのものに対してストレス反応が出てしまい、この2年間は随分と苦しい思いをしましたが、その間にも詩歌を作ったり、日々ブログに文章を書いたりして、とにかく書くことをつづけてきて良かったなと実感しています。

今年はココア共和国に投稿してもなかなか成果が出せず苦しみましたが、日々非公開で詩を書き続ける中で、こうして小説にも生かせる要素がたくさん出てきたことは喜ばしいですし、まだまだ小説の道に戻るには時間がかかるかと思いますが、少しずつリハビリをつづけていきたいです。

小説講座の公募にも投稿したいと思いつつ、なかなか実現できていないのが現状なので、まずは体調を見ながら、無理のないペースで参加していければと考えています。

一応この結果と作品の内容については先生にもご報告できればと考えています。

また共に励み合っている歌友にも連絡を取って喜びを分かち合うことができればと思っています。

ブンゲイファイトクラブ5に応募しました

新たなプロジェクトを乱立させているのもどうかと思うのですが、昨日書いた掌編に応答する形で、別の未発表の掌編を書きました。

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時系列も世界観もつながっているわけではないのですが、記憶というものをいかに捉えるかということがここ最近の私のテーマになっていて、それを明確な形で描くというよりは、架空の世界で架空の人物の記憶に仮託して描きたいという思いがあり、今回連作にしようと思い立ったのでした。

4編ほど書いて連作にしてBOOTHで頒布しようかと考えていたのですが、そういえばTwitterを見ていた時期に一度だけ投稿したことがあったブンゲイファイトクラブの時期なのではと思い、検索してみると10/22〆切で、ちょうど良かったので今回書いた作品を投稿することに。

予選発表が11/1で、正直なところ厳しい戦いになるだろうなと思っているので、それまでにあと2編の掌編を書いて、11月末ごろを目処にBOOTHで頒布できればと思います。

賞に投稿するのはココア共和国を除けば本当に久方ぶりのことなので、どこまで行けるかはわかりませんが、ふたたび小説を書いていくための足掛かりとなればと考えています。

本家の小説の方も〆切が近いので、せめてなんとか一本完成させたいところです。

色々と気分次第でやりたいことを決めてしまうのは悪い癖だなと思いつつ、面白そうだと感じたものには乗ってみたいので、結果がどう出るかはわかりませんが、チャレンジ精神を大切にしていきたいと思います。

お知らせと、第二回同人文芸サークル・かもめ読書会開催決定。

お知らせ

Kindle Unlimitedが今なら初回契約で3ヶ月99円のキャンペーン中です。

Kindle Unlimited会員様は追加料金なしでお楽しみいただけますので、この期間にぜひ拙著をお手に取っていただければ幸いです。

ブログ「広寒宮」で綴ってきた図書館にまつわるエッセイに書き下ろしを加えた、図書館エッセイ集です。
「もうひとつの家」としての図書館との付き合い方や、うつ病当事者としての図書館との関わり、一利用者から見たコロナ禍の図書館の記録、幼少期に通った図書館との思い出など、今だから読みたい内容をぎゅっとまとめました。
本書が図書館を愛するすべての人の友となりうることを心から願っています。

-収録作品-
図書館という希望
ふたつの棚
図書館という友人
ふたたび図書館へ一
図書館の使い方を模索する
コロナ禍の図書館について
蔵書の整理
ふたたび図書館へ二
先達の目とBANANA FISHにみる図書館の精神
図書館という知の海に漕ぎ出す
図書館で知を拓く
学校の図書室の思い出
非常事態宣言下の図書館
本書に登場した書物

罪人の冠を頭にいただき、人の子を惑わしたすべての女の恨みを纏って、私は消えてゆく。
嘉村詩穂の個人詩集。 個人サイト「紫水宮」と主宰している文芸サークルかもめのweb文芸誌「かもめソング」に発表した詩に、書き下ろしを加えた散文詩集です。
耽美主義を掲げ、表題作となった「挽歌」を中心に、主に和風・東洋風の幻想的な詩を収録しています。

-収録作品-
マディソン

逝春(せいしゅん)
よみひとしらず
或神話研究者の最期
挽歌
或楽師の書簡
緋鯉抄
調香師の終末
秋菊
夕波千鳥
秘仏
雪女郎
墨色の使徒

耽美主義を掲げ、SF・中華幻想・仏教、そして著者のふるさとへの憧憬をテーマとした、第二散文詩集です。
以下の十編の詩を収めています。

-収録作品-
青磁の爪
白狐譚
鶯姫
エリザベート・バートリの末裔
いにしえのうた
最後の手紙
人体標本
真珠姫の恋
補陀落渡り
地獄の白百合

おかげさまで図書館エッセイ集『図書館という希望』はロングセラーになっており、今月もお買い上げいただくことができました。

この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

どうぞ引き続きお手に取っていただけると、また新たな本を作るきっかけにもさせていただけるかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

第二回同人文芸サークル・かもめ読書会開催決定

先日の山本周五郎「雨あがる」読書会が盛況のうちに終わり、メンバーの意識も高かったため、今秋中に第二回かもめ読書会を行うことになりました。

another-world-of-aniron.hatenablog.jp

テキストは南木佳士阿弥陀堂だより』に決まりました。

元々この作品はかねてから映画が気になっていて、かもめメンバーでもある主人と一緒に観てとても良かったため、ぜひ原作も読みたいと話していたのでした。

前回の読書会でメンバーから「夫婦の話に興味がある」という意見があり、同じく夫婦を扱った『阿弥陀堂だより』を読むことになったのでした。

あまり解釈が割れる作品ではないかなと思いつつも、既婚者のメンバーが多いので、夫婦のあり方をこの読書会を機に色々と考えていただけると面白いかなと感じます。

今から開催がとても楽しみですし、今後とも第三回、第四回と催していければ主宰としてこれほどうれしいことはありません。

皆仕事に育児に忙しい世代でもあるので、無理のない範囲で続けていければと考えています。

 

主宰した「雨あがる」読書会を催しました。

今日はかねてから大学時代の文学仲間と約束して、私が主宰した山本周五郎「雨あがる」読書会の日でした。

読書会を催す時間になり、先日読んだテキストを手に自室へ。

読書会では民衆の描かれ方や、主人公夫妻の聖なるものとしてのキャラクター性、リベラルな思想小説としての「雨あがる」について語り合いました。

当時としては全く新しい「弱い立場の侍」が、その後藤沢周平に引き継がれて、時代小説の一ジャンルとなっていくという主人の解説もあり、大変歯応えのある読書会になったのではないかと思います。

皆それぞれに感想を述べあったり、主人が好きな作家ということもあって解説をお願いする場面があったり、一通り話し終えた後に参加者のNさんから「皆さんが最近読んでいる本について聞きたいです」と提案があり、私は最近読んでいる外間守善『沖縄の食文化』という本と、木下龍也『荻窪メリーゴーランド』を取り上げました。

メンバーのYさんは京極夏彦の新刊を読んでいるとのことで、その話題でも盛り上がり、Nさんはうなぎの生態について書かれた本や、海外古典ミステリー、横溝正史などを読んでいると聞きました。

主人は窪美澄の『ふがいない僕は空を見た』について語って、ひとしきり話が盛り上がりました。

皆子育てに仕事に忙しい中でも読書に励んでいて刺激をいただきましたし、私が「コロナ禍になって、なかなか小説を読めなくなってしまったんですよね」と恥ずかしながら打ち明けると、Nさんも産後は小説を思うように読めず、そこからミステリーと出会ってハマって読むようになったと話してくれて、ほんの少し勇気をいただくことができました。

私はここのところ近代文学を学生の頃のようにふたたび読み返したいという思いが強まっているものの、なかなか実行に移せておらず、泉鏡花谷崎潤一郎といった大好きな文豪の作品をもっと読んでみたいと思っています。

特に「天守物語」はこの季節にふさわしく、学生時代は鏡花の命日になると絶筆の「縷紅新草」を毎年読んでいたのを思い出します。

谷崎は特に「盲目物語」と「蘆刈」が大好きなので、そちらも読み返したいです。

また宮沢賢治の作品や関連書籍を読むことはひとつのライフワークのようになっているので、積んでいる本などを崩していきたいところです。

特に賢治の詩集は読もう読もうと思いつつ、なかなか手に取れていなかったので、この機会に読むのもいいかもしれません。

なんとかふたたび小説に読書の軌道を戻していければと願っています。

久しぶりに作業会企画のテレッテレーに参加しました。

実はテレッテレーの開催日を知ったのが昨日で、フライングをして前日に「私」物語化計画の企画の掌編の初稿ができていたので、その推敲・校正に時間を費やしました。

another-world-of-aniron.hatenablog.jp

今回の小説は水害で両親を失い、奉公先で下働きをしている少女が龍と出会って結ばれるという、ありきたりな時代ファンタジーのラブストーリーですが、個人的にはここ一年の間に抱えてきた両親と故郷の喪失という体験をどうしても小説に書きたかったので、思い入れの強い作品となりました。

10枚に満たない作品なので、要素を詰め込みすぎたかなという反省はありつつも、これから書こうとしていた小説の雛形のような作品になりました。

テレッテレー自体は、初めはお茶をしたり家事をしたりと脱線気味でしたが、結果的に4、5回ほど校正ができたのでひとまず進捗としてはまずまずかなと。

校正をしている間に、プロットを簡易的に作ったものの、ほぼ一発書きではありましたが、小説の構成をかなり意識していたことがわかり、以前よりも物語の構造を掴む解像度が上がったのかなと実感することができました。

ここ数年、あまりきちんと小説を読めずにいて、その間に随分と実写・アニメ・特撮問わず映像作品をたくさん観て、その都度物語の構造分析をしてきたので、それが大きく生きたなと感じています。

「私」物語化計画の講義を再確認してみると、まだまだ至らない部分がたくさんあるなと実感したので手直しできるところは直しつつ、なんとか企画の俎上に載せてもらえるように励んでいきたいと思います。